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牡蠣について

こんにちは。
海のミルクとも呼ばれ、食卓でも人気を博する「牡蠣」。
春夏には岩牡蠣が、秋冬には真牡蠣が旬のものとして人気です。
栄養面ではビタミン・ミネラルではビタミンB12亜鉛、セレンを多く含み、
生食はもちろん、カキフライやアヒージョなど、数多くの料理に用いられます。
この記事では、そんな牡蠣について書いていこうかと思います。

牡蠣とは


まず初めに、牡蠣は生物学的には「軟体動物」で、体の左右に1対2枚の貝殻をもつ「二枚貝」という分類になります。
二枚貝は、浜や干潟に生息するシジミやアサリといった小柄な二枚貝から、岩礁に固着するカキやムール貝など、海岸べりに大量に生息していて採取も容易であり、有史以前から全世界の沿岸地域で食物として利用されてきました。縄文人のゴミ置き場であった貝塚はその名のとおり貝殻が多くを占めており、重要な食物であったことが分かります。

生食用の牡蠣と加熱用の牡蠣の違い


まず初めに、牡蠣はよく当たることで知られていますが、原因は主に「ノロウイルス」「腸炎ビブリオ(菌類)」「貝毒」「アレルギー」であり、
つまりウイルスや菌が大半です。
よく鮮度が原因で当たる、当たらないの判断をされることが日常多いですが、実はこれは誤りです。
結論から言うと、牡蠣が当たるかどうかは、鮮度ではなく、菌やウイルスがどれだけ多くいるか、です。そしてその程度を決めるのは”海域の差”になります。
もう少し掘り下げてみましょう。
今回フォーカスする海域は、主に沿岸部か沖合かで分けることができ、一般的に沿岸部は当たりやすく、沖合いは当たりにくいです。なぜでしょう。
これを説明するために、広島がなぜ牡蠣の名産地であるかに触れたいと思います。

広島の牡蠣


因みに、広島が全国一かつ日本の牡蠣生産量の6割を占める所以は、
養殖環境の良好さにあります。
歴史的には、縄文時代から牡蠣が食べられていたとされる広島湾ですが、養殖が始まったのは室町時代 (1532年~1555年頃) という説もあります。いかだによる養殖が普及したのは戦後のことで、生産量は飛躍的に伸びたと言われています。
そんな広島の理想的な環境には、以下2点の要素があるのです。

  1. 河川の多さ

  2. 波のない湾内


1について、広島は太田川をはじめとする河川が多く、河川は一般的に植物プランクトンを豊富に含みます。(植物プランクトンは一般的に、塩分濃度が低く、蛍光強度が高いほど多い。)


国土交通省」より一例



つまり、河川が多い広島の沿岸部にはプランクトンや栄養素を多く含んだ
牡蠣が多く、美味になるのです。加えて2について、島や岬が多く湾内の波が静かな環境であるため、養殖いかだを大量に設置できます。
上記の理由から、量、質の面ともに牡蠣の生産に資する環境が揃っています。
1で河川がいかに栄養分を豊富に含んでいるかを説明しました。
しかし実はその分、菌やウイルスも海に比べて河川の方が多く存在しています。
そして一般的に、牡蠣は一日300Lの海水を摂取し、その際にプランクトンや栄養分を吸収するため、河川が近い湾岸や河口の牡蠣の方がより多くのプランクトンや栄養分、そして菌やウイルスも多く摂取しています。
これが、河川付近の牡蠣が沖合いの牡蠣より当たりやすい所以です。

まとめ

このように、河川と通じている沿岸部に生息する牡蠣は、沖合いに比べて
栄養分やプランクトンを多く含みます。しかし、河川には菌やウイルスも多く、沖合いに比べて水質も悪いです。それ故そのような牡蠣はその分菌やウイルスも共に多く吸収しているということになります。
これが、沿岸部の牡蠣が当たりやすく、沖合いの牡蠣が当たりにくい理由です。
したがって、食用の分け方として、前者は「加熱用」、後者は「生食用」として扱われることが多いのです。
上述を踏まえると、味の面では実は加熱用の牡蠣の方が栄養分を多く含み、重ねて生食用は減菌洗浄をしているため2〜3日ほど断食を強いられ、身が痩せてしまうため、加熱用の方が美味な傾向があるのです。

今回は牡蠣について、基本的な周辺知識をまとめてみました。
外食や食卓で牡蠣を選ぶ機会には、是非想起していただきたいです。

私自身も牡蠣が好きなので、購入する際には上のような知識が尺度になることが多いです。最近は、産地や種別など豊富な選択肢から選ぶことができるAmazonの「e-oyster」で、旬や気分に合わせて牡蠣を購入し、堪能しているところ。
ぜひいつもと違った角度から牡蠣を選んで、自分好みの牡蠣を購入していただきたいと思います。

 

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